『線と色の即興詩』ノーマン・マクラレン


『線と色の即興詩』ノーマン・マクラレン/カナダ/1955

アニメーションの発明家、ノーマン・マクラレンによる実験的な作品。

フィルムに直接傷をつけたり色をのせたり、

1コマ1コマを描いていく手法「ダイレクトペイント」や「シネカリグラフ」

で作成された作品です。

一見何の脈絡もなさそうな抽象的な記号のような図柄がですが、

音のタイミングや、音質とのシンクロが素晴らしく、

色も美しく

動きの面白さ、絵柄のユニークさなど

非常に伸びやかで自由で

アニメーションの楽しさを味わえる作品です。

「お坊さんと魚」 マイケル・デュドク・ドゥ・ビッド


「お坊さんと魚」

マイケル・デュドク・ドゥ・ビッド/フランス/1994

 

音楽に合った抑揚たっぷりのコミカルな動き、

陰影のはっきりとした線、

滲んだような背景、

色調を抑えたセピア調の色合い、

 

魚を捕まえたいお坊さんと逃げ続ける魚

 

単純なストーリーでありながら見る人を飽きさせない数々工夫。

 

物語の展開にはちょっと複雑な思いや余韻が残り、

絶妙なバランスと魅力を持った作品です。 

『小蝌蚪找媽媽』特偉

「小蝌蚪找媽媽」特偉/中国/1961

中国の伝統技術、水墨画を巧みに使った、アニメーションです。

生まれたばかりのおたまじゃくしたちが、お母さんを探す可愛らしいお話。

淡く滲んだ色合い、勢いを感じる流れるような線、緩急のついた動き、

ひらひら漂うおたまじゃくしの尻尾や、金魚の尾ひれは、

本当に水中にいるような気持ちよさと美しさがあり、

水墨画との相性も抜群です。

ファインディング・ニモよりも50年近く前に発表された作品です。

『スキゼン』ジェレミー・クラパン

『スキゼン』ジェレミー・クラパン/フランス/2008

 

自分が世界から91センチずれてしまった男の話。

 

あの人ちょっとズレてるよね、なんてよく言うものですが、

本当にずれてしまったら。。。

視覚化すると確かにこうなる。

これがアニメーションの面白いところ。

 

よく考えたら、本当にこうなったら一大事ですが。

『桃太郎 海の神兵』瀬尾光世


「桃太郎 海の神兵」瀬尾光世/日本/1945

 

タイトルと時代から察する通り、戦意高揚映画なのだけれども、

とても興味深い作品。

主人公は昔話のヒーローである桃太郎です。

桃太郎は日本画の中に描かれる天草四郎のように、凛々しく丹精な顔立ちをしています。

しかし、桃太郎以外はみんな動物なんです。

動物たちは、のらくろや、フクちゃんのような、キャラクター化された可愛らしい描かれ方をしていますが、

アップになると、時折桃太郎のような凛々しい顔立ちになることがあり、その違和感や表情にドキッとする。(あの顔は、キメ顔なのかしら?)

また、全編通して風を感じることができるのが特徴的で、

セーラー服の襟が、桃太郎の前髪が、国旗がふわっとなびき、

常に心地の良い風が吹き抜けていきます。

 

個人的に好きなシーンは、中盤の「アイウエオ」の唄のくだり。

侵略した土地で現地の人に日本語を教える、という、

今思うと不謹慎なシーンだけれど、

ほとんど「ア・イ・ウ・エ・オ」の5文字だけで進むこののシーンは

戦意高揚映画とは思えないほどおおらかで、のどかで、平和に見えます。

しかし、心で楽しいと思っても、頭のどこかで道徳的にせつないと考えてしまうシーンです。

 

今朝、

「桃太郎 海の神兵」がカンヌで上映されたという記事を見て、

久々に見たくなったので、

実はコレ、短編じゃないんですが、是非。