広島国際アニメーションフェスティバル2016レポート_3日目 & コンペ結果

さて、広島国際アニメーションフェスティバル2016、3日目。

個人的最終日の、3日目。。。

 

朝イチでチェコの特撮映画の巨匠、カレル・ゼマンのドキュメンタリー『映画界の冒険家 カレル・ゼマン』を、

続けてフランスの長編アニメ『ファントム・ボーイ』を鑑賞しました。

どちらも素晴らしかった!

 

やっぱり映画は映像はアニメーションは、発明だ!

どうやって作っているんだろう? ままさか、そんな方法で作られているなんて!

純粋なそんな思いが今でもアニメーションへの好奇心を掻き立てているんだな、と改めて感じました。

作品を見ていなくても、メイキングを見ているだけで味わえる多幸感。。。

そして、恥ずかしながらカレル・ゼマンの特撮映画を見ていないことを本当に本当に悔やみました。

見ていたらもっと幸せな気持ちになれたはず!悔し恥ずかし!

そしてそして、ティム・バートン、テリー・ギリアム、ハリウッドの巨匠にまじり、なんと、山村浩二さんが!

アニメーション愛に満ち溢れていました。恐るべし。

 

続けて鑑賞した『パリ猫の生き方』改め『パリ猫ディノの夜』のグラン・ギニョル監督の新作『ファントム・ボーイ』

2015年の作品にもかかわらず。公開が決まっていないようなので、ここで見ておかなければ!と意気込み、カレル・ゼマン後だったことも手伝って、熱量高めで鑑賞しました。

登場人物の特殊な設定により、自由に夜の街を飛び回る描写が、前作の夜を駆ける抜ける猫よりもさらに優雅で、

絵柄の可愛さやおしゃれさも加わり、本当に気持ちの良いアニメーションでした。

ぬるっとふわっと感がハンパなかったです。

公開決まらないのかな。。。

 

というところで、時間切れ。私の広島レポートはここまで。

もう少し広島に居たい気持ちを抑え、泣く泣く新幹線に飛び乗ったのでした。

最後の広島感、穴子飯弁当を頬張りながら、

ニューステロップでリオ オリンピックでの日本のメダル数がすごいことになっていることを知り、この時やっと我に返った気がします。夢のようなアニメーション三昧はもうおしまい。

ありがとう広島、さようなら広島。

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最後に、コンペティションの結果をまとめて、広島国際アニメーションフェスティバル2016レポートを締めさせていただきます。

トレイラーが見つかったものはリンクを貼りました。

 

グランプリ

■「空き部屋(The empty)」ダヒ チョン/ Dahee Jeong

 

ヒロシマ賞

■「Among the black waves」アンナ ブダノヴァ/ Anna Budanova

 

デビュー賞

■「Yùl and the Snake」ブリエル アレル/ Gabriel Harel

 

木下蓮三賞

■「Peripheria」ダヴィッド コカール ダソ/ David Coquard Dassault

 

観客賞

■「The Gossamer」ナターリア チェルニェソヴァ/ Natalia Chernysheva

 

国際審査員特別賞

■「Two Friends」ナターリア チェルニェソヴァ/ Natalia Chernysheva

 

■「One, Two, Tree」ユリア アゴノバ/ Yulia Aronova

 

■「Before Love」イゴール コヴァリョフ/ Igor Kovalyov

 

■「FEED」岡崎 恵理

 

■「ZEPO」セザール ディアスメランデス/ Cesar Diaz

 

■「Chulyen, a Crow’s tale」アニエス パトロン、セリーズ ロペズ/ Agnès Patron, Cerise Lopez

 

■「サティの ”パラード”(Satie’s “Parade”)」山村 浩二

 

■「Life with Herman H. Rott」チンティス ルンドゥグラン/ Chintis Lundgren

 

■「The master」リホ ウント/ Riho Unt

 

■「The Sleepwalker」テオドル ウシェフ/ Theodore Ushev

 

■「Nœvus」サミュエル ヤル/Samuel Yal

 

■「ナポリタンの夜」坂元 友介

 

以上。ご精読ありがとうございました。

夏ももう終わりですね。

広島国際アニメーションフェスティバル2016レポート_2日目

だいぶ時間が空いてしまいましたが、、、

引き続き、広島2日目レポートです。

 

2日目は昼から参加、他の階の展示を見学しました。

まずは木下蓮三さんの展示&上映から。

木下小夜子さんとともにこのフェスティバルを立ち上げた方で、立ち寄った時ちょうど『ピカドン』(当ブログで8/15に紹介)が上映されていました。フロアには世界中のアニメーション関係者から届いた言葉や木下蓮三さんの似顔絵や、作品のパネルなどが並べられ、愛とリスペクトを感じました。

その他、鏡張りの部屋の中央に両面から見えるようにセットされたスクリーンへ アニメーションを投影している展示の部屋があり、リモコン操作し画面の絵を操るゲームのような展示を行っている部屋があり、

久里洋二さんの部屋があり、

ワークショップやフレームイン、記者会見場など様々なアニメーション模様が繰り広げられていました。

展示

そして、場内の出店ブースで購入した広島焼きをたいらげ、午後の上映へ。

大ホールの、今年の国際名誉会長ジャン=フランソワ・ラギオニー氏の短編上映&ティーチ・インと、長編『グウェン』の上映を鑑賞。

油画のような濃厚で柔らかなタッチ、鮮やかかつ抑制された整った色彩、

幻想的な世界の中に突如現れる風刺やユニークな展開でハッと我に帰り、

夢現つをまどろみつつ、時折針でつつかれるような、

非現実と現実の境界線を絶妙なバランスで曖昧にしてくれる、素敵な短編集でした。

途中、音のみで映像が流れないというトラブルが発生しましたが、5度目くらいでやっと上映に成功、あの冒頭シーンのオルゴール音はきっと一生忘れられません(『俳優』)。

はて、あれは夢だったのかしら。

ちんちろりん

長編『グウェン』もまさに幻想と現実の狭間を生きる人間の未来を描いた作品でした。

竹馬に乗って砂浜を走ったり、ダチョウを追いかけ羽根をむしって食べたり、光の竜巻から日用品が降ってきたり。。。

これだけ聞けばコメディかと思われるかもしれませんが、砂漠を生きる遊牧民の生き様を力強くしなやかに描くファンタジーです。

青白くうすら明るい砂漠の世界はまるで、月明かりに照らされた、広く穏やかな大海原のよう。

美しい。

ティーチ・インでは、作品を作るにあたっての思いや経緯、最新作の長編(CG!)の断片も見せてくださったり、上映トラブルによる時間ロスを埋めるべく、短編長編どちらの上映後にも質疑応答が行われ、

積極的にお話ししてくださっていました。

そして、アニメーション研究者のイラン・グエンさんによる同時3ヶ国語通訳(日英仏)もあっぱれでした。

グウェン

 

さて特集上映の次はお待ちかねのコンペティション。

印象的だった作品は

チェコの巨匠 ブジェティスラフ ポヤルの遺作脚本をもとに作られた、戦争の恐怖とヒューマンドラマが並行して展開する人形アニメーション『The Christmas Ballad』(チェコ/ミハル ジャプカ)、

生き物の営みや共存を微笑ましく描く『November』(フランス/マルジョレーヌ ペロトン)、

もはや悲劇は喜劇、愛情と愛憎と愛欲の紙一重のすれ違い、『Before Love』(ロシア/イゴール コヴァリョフ)、

大きくて柔らかくて穏やかに包まれる『FEED』(日本/岡崎 恵理)、

砂の細やかさと儚さ、朧げな陰影で不安や不確かさを描く『ZEPO』(スペイン/ザール ディアスメランデス)。

この日は久々に再開した友達と一緒に鑑賞。あれやこれや言いながら見るのはやっぱり楽しいですね。

交わし

1日目の抽象的な感じに比べて全体的にドラマチックな作品が多かったように思います。

つづく

 

次は3日目昼までのレポートと、コンペ結果のまとめをお伝えします。

 

広島国際アニメーションフェスティバル2016レポート_1日目

しばらく更新が途絶えておりました、が

広島国際アニメーションフェスティバル2016年へ行ってきました。

全日程は無理だったので前半2日半のみですが、何回かに分けてその様子をお届けしようと思います。

 

さて、

広島国際アニメーションフェスティバルとは、

平和記念公園や原爆ドームから程なく近いアステールプラザという文化会館のようなところで、2年に一度行われるアニメーションの祭典です。

時期は毎回8月中旬くらい。この時期は、終戦記念日間もないこともあり、広島市内は国内外からの観光客で賑わっています。そして暑い!

アステール

 

会場入ってすぐのロビーは国際色豊かな交流の場になっています。

大階段脇の壁には所狭しとイベントやアニメーションや映画祭のポスターが貼られており、

階段を上った上にある大中小の3つのホールでは、並行して特集上映が行われています。

今年の主な特集上映は日本のアニメーション。

『なまくら刀』から『AKIRA』から学生作品まで、多種多様な日本のアニメーションが上映されていました。

また、国内では公開の決まっていない海外の長編アニメーションやアニメーション関連のドキュメンタリー上映、セミナーやティーチインなども開催されます。

アステール2

大階段上のフロアーには、出店やブースが並んでおり、アニメーショングッズや、DVD、公式カタログなどが販売されています。その他天然酵母パンや広島焼きなどの食べ物のお店もあります。他の階では展示やワークショップ、記者会見などが行われており、この中だけで1日が完結してしまう程の盛りだくさんな情報とサービスが集結しています。

アステール3

そして、何と言ってもこのフェスティバルの目玉、コンペティション。

世界各国から寄せられた2300本近い短編アニメーションの中から、国際選考委員の方々が選び抜いた60本の作品を4日に渡って上映し、グランプリを決めるのがコンペティションです。

ちなみにここでクランプリを取った作品は、アカデミー賞短編アニメーション部門の候補作品に上がる権利が与えられるようです。

初日のコンペティションの前には開会式が行われ、国際名誉会長(今回は、ジャン=フランソワ・ラギオニー氏、彼の特集上映もありました)や市長、フェスティバルディレクターなどからのご挨拶があります。

フェスティバルディレクターの木下小夜子さんのご挨拶が印象的。

思いの丈を述べた後に、「最後に、長くなってしまいましたが、言いたいことはただ一つ、」と言ったところで演説台からぴょんと飛び降り、大きな身振りと手振りと声でこう一言。

 

アステール4

会場が盛り上がったところで、鬼のお面をまとった地元マンドリンクラブの子供達の勢いあふれるパフォーマンスが始まり、途中からは地元小学生と先生で結成された「ラッピー合唱団」が登場し、元気いっぱいの歌声が届けられました。

アステール5

ちなみにラッピー合唱団の「ラッピー」とは、広島アニメーションフェスティバルの公式キャラクター「ラッピー」のことで、会期中は会場で会えます。ぬいぐるみではなく、空気人形なので、ツルッツルのツヤッツヤのユッサユサです。

アステール6

上映前と上映後には必ずロゴが流れます。上映前のロゴはとても渋く、歴史深さが感じられます(結構好きです)。上映後のロゴは、上映前のものに比べ軽く、コメディタッチで描かれます。ラッピーも出てきますよ。

これは上映前のロゴのイメージです。

アステール9

コンペの上映が始まると、一作品毎にタイトルや監督名などがアナウンスされ、制作者が来場している場合には、上映後に軽い紹介があります。

ちなみに、一日一枚投票用紙が配布され、自分の好みの一作品に投票することができます。4日間で一番投票数を獲得した作品には観客賞が贈られます。

これが結構迷うんですよね。カタログに感想などをメモしながら結構真剣に悩みます。

 

アステール7

1日目で印象的だったのは、

全体のトップバッターというちょっと不利な順番でありながらも会場の雰囲気をほぐしあげたエストニアの『ピアノ』。

爆音のインパクトとアニメーションの勢いに、風が吹いた気がした日本の『AGE OF OBSCURE -茫漠時代-』。

軽やかさとアイデアと構成と描かれるすべてのユニークさに見惚れてしまった日本の『サティの「パラード」』。

メディア芸術祭でも選出されていたフランスの『Two friends』 など。

 

初日から参加したのは初めてだったので、開会式が新鮮でした。

これまでは、上映をただ観てただ帰る(そして飲みに行く。。。)、を繰り返していた気がしますが、

開会式や他のフロアを見ることで、鑑賞というよりも参加している感がちょっと増した気がします。決して自分の作品が上映された訳ではないんですけどね。。。

そして、スタッフパスもしくはゲストパスを首から下げた知人・友人の多いこと。

いつか自分もそちら側へ行きたい、、、と思いつつ、そのためには作品を作らなければならない、何か発信しなければならないと、焦りとやる気を感じたアニメーションフェスティバルの初日でした。

つづく

『おんぼろフィルム』手塚治虫

『おんぼろフィルム』手塚治虫/ 日本 / 1985

Broken Down Film(Osamu Tezuka)

 

漫画の神様、手塚治虫の実験アニメーションです。

引っかき傷や、ゴミやシミ、コマ落ち、コマ飛び、音飛びなど

古い映画によく見られるノイズを逆手にとって演出を施したユニークな作品です。

音楽や映像自体もボヤけさせて、古い感じを出していますね。

 

さて、明日から広島アニメーションフェスティバルが始まります。

今年で16回目。世界中からたくさんの短編や長編アニメーションがやってきます。

 

この作品は、第1回のグランプリ作品です。

2年に1度の開催なので、もう32年も前の作品なのですが、全く古さを感じさせません。

(古い映像をもとに作られているから、古いも新しいも無いか笑)

 

 

『ピカドン』 木下蓮三

『ピカドン』  木下蓮三/ 日本 /  1978年

pikadon (Renzou Kinoshita)

 

1945年8月6日の広島の出来事を描いた作品です。

ピカドンとは、そう、原爆のこと。

戦時中、質素な生活ながらも、お互いを思いやり、人と人とが支えあい、お国のために懸命に生きていた広島の人々に突如訪れた、ピカドン。

一瞬にしてすべてを破壊し、多くを奪い、過ぎ去っていきました。

丁寧に描かれる人々の日常と、美しく儚いピアノの旋律が、

のちに訪れる悲劇をさらに悲しく恐ろしいものとして描き出しています。

 

戻ることも着地することもできなかった、坊やが飛ばした紙飛行機は、広島の人々の思いとともに、今でも広島の空中を飛び続けています。

 

忘れてはならない、忘れるわけにはいかない、だから、見続けなければいけない。

 

今日は終戦記念日ということで。