『風景画家』ジャック・ドルーアン

『風景画家』ジャック・ドルーアン/カナダ/1976

Le paysagiste (Jacques Drouin)

ピンスクリーン(※)による木炭の様な、CGのような、立体的で柔らかな質感の画が

じんわりと移ろっていく。

実態があるような、無いような、はっきりしているような、朧げなような

不思議な画の中で風景画を描く男は、やがて風景画の中に入り込み、

カンバスの境界線は溶けてなくなる。

記憶、妄想、現実の連鎖。

誰もが行ったことがあるであろう、一枚の絵から始まるインスピレーションの旅。

脳内風景。

※ピンスクリーン

板に無数に刺したピンを押し出したり引き出したりしながら光を当て、落ちる陰影で描いた絵を少しずつ動かしアニメーションをおこなう装置。

アレクサンドル・アレクセイエフとクレア・パーカーにより開発された。

『ビーズ・ゲーム』イシュ・パテル

『ビーズ・ゲーム』イシュ・パテル/インド・カナダ/1977

The Bead Game (Ishu Patel)

小さなビーズを並べて絵を作りそれを一つ一つ動かしてアニメーションするという、

アナログのドット絵アニメーションのようなもの。

1個のビーズからはじまり、分裂、増殖、躍動を繰り返し

まさに細胞分裂から始まる生命の誕生と進化。

ビーズの数が増えるにしたがい徐々に引いていく画面と小さくなっていくビーズ。

色数も増え、まるで画素数が増えていくかのように滑らかになっていく絵。

生命の進化とテクノロジーの進化、どちらの側面も持ち合わせ

イデアと技術のどちらも無くしては成し得なかった素晴らしいアニメーション。

第50回アカデミー賞短編アニメーション賞ノミネート

『岸辺の二人』マイケル・デゥドク・ドゥ・ヴィッド

『岸辺の二人』

マイケル・デゥドク・ドゥ・ヴィッド/イギリス・オランダ/2000

Father and Daughter(Michaël Dudok de Wit)

台詞はなく、音と映像で描かれる、父と娘の話。

バンドネオンアコーディオン?)とピアノの音

セピア調のかすれた色合い

線画タッチのシンプルな絵

伸びる影

明暗のはっきりしたシルエット

回る車輪

吹き抜ける風

回想録のような、懐かしさと

絵本を読んでいるかような、優しさ

静と動

川の向こうに父がいる。

第73回アカデミー賞短編アニメーション賞受賞

内田也哉子翻訳の絵本も出版されています。