『老婦人と鳩』シルヴァン・ショメ

『老婦人と鳩』シルヴァン・ショメ / フランス / 1998

The Old Lady And The Pigeons (Sylvain Chomet)

 

『べルヴィル・ランデブー』や『イリュージョニスト』などの長編アニメーションで有名なシルヴァン・ショメ監督の処女作です。

最近では『ぼくを探して』という実写映画も撮っていましたね。

さて、これは22分の短編です。

もはやホラーです。

ホラーを通り越してコメディです。

セピア調のノスタルジックな色合い、バンドネオンの哀愁漂う音色、

ホラーからもコメディからも程遠いムードの中で、淡々と時は迫って行きます。

Xデー 、いや、X’masに。

時間経過の描写や、それを切り取るカメラワークが面白い。

台詞がなくても、動きや仕草など細部にこだわった演出が十分物語や関係性を描き出しているので、

まったくわかります。

皮肉っぽいところや、変に素直なところがあり、

見るからに気難しそうな口ひげを携えた貧しい老人が横柄だったり、

ヒョコヒョコ動く裕福な可愛らしい老婆が残忍であったり、

偽善で描かれないのがフランスらしい。

でも、老人が鳩を殴る時「ポコ」と可愛らしい音と動きで、本気で殴っていない”遠慮”を感じたので

その時、「あ、この人横柄だけど悪い人じゃないかも!」と思いました。

処女作なので、若干の絵のタッチの違いはあれど、

背景描写の緻密な描き込みはすでにこの頃から健在、ブラックユーモアに満ちたショメ節はどの作品よりも強いかも。

 

アヌシーや広島、イギリスなどの各国のアニメーションフェスティバルで受賞。

アカデミー賞短編アニメーション部門にもノミネートされました。

『月世界旅行』ジョルジュ・メリエス

『月世界旅行』ジョルジュ・メリエス/フランス/1902

Le Voyage dans la Lune / A Trip to the Moon (Georges Méliès)

 

今年の台風は強大で、

やんややんやと休む間もなく押し寄せてきます。

中秋の名月はかろうじて雲間から見上げることができました。

また、再びの強力な台風がせまっていますね。

お月さまもヒヤヒヤしながら見下ろしているのではないでしょうか。

さて、今日はお月さまのお話です。

それも、とっても古い、今から114年前に作られた作品です。

このお月さま、世界一有名なお月さまじゃないでしょうか。
映画として、通してまるまる見たことのある人は少ないかもしれませんが、
頭にロケットが刺さった、口が裂けたピエロのような不気味なお月さまの顔は、
一度は見たことがあるのではないでしょうか?
この機会に、ぜひ通して見てみてください。

これがアニメーションかどうか、と問われたら、微妙なところかもしれません。

おそらく、実写か、特撮か、アニメーションか、

そんな分類すらなかった、

映画が生まれて間もない頃の作品なのですから。

列車がカメラに向かって動き出すだけで、

轢かれるー!!!

と大パニック、失神する人が出るほど大騒ぎした時代です。

でも、
人や物が瞬間移動したり、
一コマ一コマ細工をして色をつけたり、

コマとコマの繋がりが生み出す不思議な効果や魅力は、根本的にはアニメーションとおなじと言っていいでしょう。

映画の垣根が曖昧だった頃の、
工夫に満ちた愉快な作品です。

私のアイコンもお月さまですが、
彼にはとてもかなわない。

お月さま先輩。

「お坊さんと魚」 マイケル・デュドク・ドゥ・ビッド


「お坊さんと魚」

マイケル・デュドク・ドゥ・ビッド/フランス/1994

 

音楽に合った抑揚たっぷりのコミカルな動き、

陰影のはっきりとした線、

滲んだような背景、

色調を抑えたセピア調の色合い、

 

魚を捕まえたいお坊さんと逃げ続ける魚

 

単純なストーリーでありながら見る人を飽きさせない数々工夫。

 

物語の展開にはちょっと複雑な思いや余韻が残り、

絶妙なバランスと魅力を持った作品です。 

『スキゼン』ジェレミー・クラパン

『スキゼン』ジェレミー・クラパン/フランス/2008

 

自分が世界から91センチずれてしまった男の話。

 

あの人ちょっとズレてるよね、なんてよく言うものですが、

本当にずれてしまったら。。。

視覚化すると確かにこうなる。

これがアニメーションの面白いところ。

 

よく考えたら、本当にこうなったら一大事ですが。

『5メートル80』ニコラ・ドゥヴォー

『5メートル80』ニコラ・ドゥヴォー/フランス/2013

5 METERS 80(Nicolas Deveaux)

 

キリンが出てきます。

プールが出てきます。

飛び込みます。

それだけです。

ただそれだけなんですけどね、

ものすごいインパクト。

 

定点カメラやさりげないカメラワーク、技術はもちろんのこと、

イデアの勝利。

 

何も考えずに見てください。