『ヴィンセント』ティム・バートン

『ヴィンセント』ティム・バートン/アメリカ/1982

Vincent (Tim burton)

 

ホラー映画の俳優として有名なヴィンセント・プライスに憧れる少年の苦悩。

あまりにも子供らしからぬその嗜好は誰にも理解されず、むしろ避難され、少年は情緒不安定に陥っていきます。

不安や恐怖を煽る音楽、モノクロの映像、フィルムの質感など、

昔のホラー映画のような雰囲気を漂わせ、ドイツ表現主義のようなデザイン的で明暗の強い色彩と照明が、おどろおどろしさを際立たせているのだけれど、

細い足首やとがった鼻や顎など、

イラストをそのまま立体に起こしたような人形の造形が個性的でとても可愛らしいのです。

犬も、猫も、人間も。

 

ナレーションは実際にヴィンセント・プライスが行っており、

もしやこれは自伝なのかしら、と勘ぐりたくなりますね。。。

『電子頭脳おばあさん』イジー・トルンカ

『電子頭脳おばあさん』イジー・トルンカチェコ/1962

Cybernetic Granma (Jiri Trnka)

 

無機質でメタリックな空間、

流線型の不思議な形の道や建物、

透明カプセルでの移動、

機械脳との会話、

太陽が全く感じられない(曇り?室内?)空間であるにも関わらず

常に落ちる強い陰影、

 

 パイプオルガンの悲劇的な音楽が鳴り渡り、終始不穏な空気が漂う。

 

タイトルからは「コンピューターおばあちゃん」的な

素敵で楽しい夢のハイテク未来生活 な想像がつきやすいけれども、

この作品は、何かに操られたり制御される恐怖や不安、

人の繋がりやぬくもりを描いているようにも思える。

 

とはいえ、

未来的な空想世界や空間の広がり

不安を煽るような演出

女の子の丸っこくて可愛らしい動きや造形

など

とっても興味深く面白いので是非。

 

こんな近未来の描き方もあるのか。

『ママ』(ママのお買い物)ロマン・カチャーノフ

 

『ママ』ロマン・カチャーノフ/ロシア/1972

mama(Roman Kachanov)

 

可愛い幼い我が子を心配する母の愛が大きすぎる故に暴走する負の連鎖。

変な人、変な行い、変な出来事、「変」が面白おかしく描かれる。

 

しかし母の心配はよそに

子供は意外にも平気に丈夫に健やかに育つ。

親はみんな子供が心配。

 

ママの造形や仕草がスレンダーでスタイリッシュで色っぽくて

母というより女性っぽい。

うら若き新米ママの子育て奮闘記、といったところでしょうか。

 

 

おまけ

オリジナル版にはナレーションはありませんが、

かつてテレビで放送された日本語吹き替え版がありました。

(テレビ、しかも民放で放送されたらことがあったなんて!)

オリジナル版とはまた少し違った味わい。

よりコメディ色が強くなり、愉快な印象。 

『飲みすぎた一杯』ブジェチフラス・ポヤル

『飲みすぎた一杯』ブジェチフラス・ポヤル/チェコ/1958

 

僕らと遊ぼう!のポヤルの作った大人のアニメーション。

 

ライダー青年の悲しい結末。

タイトルの通り、酔っ払いの話。

 

バイクの疾走感と、酔っ払いのよろめきが同居している後半戦が見もの。

汽車の煙突から出る炎と煙、

ライトに照らされ浮かび上がるガードレールや道路標識、

速度で変化するバイク音

水面に反射する汽車とバイクの並走姿

音と光と影をうまく利用し表現しているスピード感が素晴らしい。

 

お酒を飲んだら、運転しちゃダメ、絶対。

アートディレクターをイジー・トルンカが勤めている。