『月世界旅行』ジョルジュ・メリエス

『月世界旅行』ジョルジュ・メリエス/フランス/1902

Le Voyage dans la Lune / A Trip to the Moon (Georges Méliès)

 

今年の台風は強大で、

やんややんやと休む間もなく押し寄せてきます。

中秋の名月はかろうじて雲間から見上げることができました。

また、再びの強力な台風がせまっていますね。

お月さまもヒヤヒヤしながら見下ろしているのではないでしょうか。

さて、今日はお月さまのお話です。

それも、とっても古い、今から114年前に作られた作品です。

このお月さま、世界一有名なお月さまじゃないでしょうか。
映画として、通してまるまる見たことのある人は少ないかもしれませんが、
頭にロケットが刺さった、口が裂けたピエロのような不気味なお月さまの顔は、
一度は見たことがあるのではないでしょうか?
この機会に、ぜひ通して見てみてください。

これがアニメーションかどうか、と問われたら、微妙なところかもしれません。

おそらく、実写か、特撮か、アニメーションか、

そんな分類すらなかった、

映画が生まれて間もない頃の作品なのですから。

列車がカメラに向かって動き出すだけで、

轢かれるー!!!

と大パニック、失神する人が出るほど大騒ぎした時代です。

でも、
人や物が瞬間移動したり、
一コマ一コマ細工をして色をつけたり、

コマとコマの繋がりが生み出す不思議な効果や魅力は、根本的にはアニメーションとおなじと言っていいでしょう。

映画の垣根が曖昧だった頃の、
工夫に満ちた愉快な作品です。

私のアイコンもお月さまですが、
彼にはとてもかなわない。

お月さま先輩。

『バードコールズ』マルコム・サザランド

バードコールズ』マルコム・サザランド/カナダ/2006

Birdscalls (Malcolm Sutherland)

 

鳥の鳴き声を可視化し、音が自由に羽ばたく様子が

とても気持ち良く描かれるアニメーションです。

 

どこかの国の文字だと言っても違和感のない記号のような形が

ノートの上に飛び出しては消え、

消えては現れ、

だんだん次は何が出るのか楽しみになってきます。

 

 

 

『タンゴ』ズビグニュー・リプチンスキー

『タンゴ』ズビグニュー・リプチンスキー/ポーランド/1980

Tango(Zbigniew Rybczyński)

ダンスのようにすれ違い、

音楽のようにの重なり合う、

楽譜のような作品です。

窓から進入する子供、食事する男、子供をあやす女、ゆっくり歩く老人、
この部屋の中に人の一生が詰まっているような、
人生の縮図のような、
繰り返しのような、そうでないような、
整っているような、不揃いのような、
単調なような、ドラマチックなような、
見た人それぞれの、妄想ストーリーが膨らんでいくのではないでしょうか。
この中に自分もいるかもしれない、
そんな気にもなってきます。
どんな人が出てくるか、
誰が何をしているのか、
いつ、何が増えたか、何が減ったか、

間違い探しの感覚で見ても楽しいです。

『クリスマスの夢』カレル・ゼマン

『クリスマスの夢』カレル・ゼマンチェコ/1946

A Cristmas Dream (Karel Zeman)

クリスマスプレゼントに新しい人形をもらった女の子は、

古くなった人形を放り投げて大喜び。

投げ出された古い人形は立ち上がり、彼女にアピールを始める。

踊るように歩き、笑うように踊る。

人形らしいコミカルで可愛い動き。

歩くだけで彼のキャラクターが手に取るようにわかる。

「クリスマスの夢」というタイトルは、クリスマスの夜に女の子が見た幻想、という意味と、クリスマスの夜にサンタクロースが古い人形に与えた希望、という意味とのダブルミーニング

『地下室の怪』ヤン・シュヴァンクマイエル

『地下室の怪』ヤン・シュヴァンクマイエルチェコ/1982

Down to the Cellar(Jan Svankmajer)

 

ぱきっとした明暗、白いニットの女の子、魔女のようなおばあさん、 黒猫の光る目、伸びる影、転がるジャガイモ、暗闇の石炭、

 

ひとけのない地下室には、きっと何かがいるし、きっと何かが起こる。

第六感や思い込み、子供のトラウマを具現化した不気味なドラマ。

 

子供のころにだれもが感じただろうこういう気持ちは、ただの怖がりだけではない気がする。それと同時に大人になったらあまり感じなくなってしまうのは、ただ勇敢になっただけではない気がする。

 

まっくろくろすけのようなもの。