『ディスク・ジョッキー』イジー・バルタ/チェコ/1980

『ディスク・ジョッキー』イジー・バルタ/チェコ/1980

Disk Jockey(Jiří Barta)

ディスク・ジョッキーの男の手元から始まる1日。

あれも円、これも円、また円、こんなにも円、

円のイメージの連鎖で進む日常。

徹底的に構成されたビジュアルが、無理なく自然な日常を紡ぎ出しており、お見事!

色のつくタイミングも絶妙で、ぼーっとしているといつからカラーになっていたのかも見落としてしまいそうです。

かなりキッチリ構成されているけれども、堅苦しくなく、

むしろ70年代の名残を感じる、ファンキーな雰囲気がたまりません。

最後の最後まで演出が続くところもお見事。やめられないとまらない、的な。

とにかくかっこいいアニメーションです。

『おやすみなさいこどもたち(エンディング)』ユーリ・ノルシュテイン


『おやすみなさいこどもたち エンディング』ユーリ・ノルシュテイン/ロシア/1999

 

ロシアの巨匠、ユーリ・ノルシュテインが作った、こどものためのTV用のアニメーションです。

子供部屋のおもちゃも寝る時間。みんな、おやすみなさいの時間。

温かいお布団に包まれて、ぐっすり眠りたい。

これを見ていたら、子供の頃、お風呂から出て寝るまでのあの時間、寝間着でそわそわしていたあの感覚を思い出しました。

しかし、何でしょう、どことなくおもちゃたちがおもちゃらしくないというか、

おもちゃが動いているというよりも、そういう生き物がそこにいるような、

妙に生々しくてみずみずしくて生き生きとしたキャラクターたちの描写に、

ちょっとドキッとします。

美しいと恐ろしいは紙一重というか。

『Tom Sweep』 マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット

『Tom Sweep』 マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット /オランダ / 1992

Tom Sweep(Michaël Dudok de Wit)

 

「Sweep」 は英語で「ほうきで掃く」の意味で、『Tom Sweep』は『掃除屋トム』とでも言いましょうか。

初長編監督作品『レッド・タートル ある島の物語』がジブリから公開中の、マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督の初期短編作品です。

『岸辺のふたり』が2000年の作品なのでそれよりも8年前、

マイケル監督の作風の特徴である、セピア調の色合いや、緩急のついた楽しい動きや、動きで表す感情・ストーリーテリングは既にこの頃に出来上がっていたのですね。

『レッド・タートル』に出てくるカニの親子のコミカルな演出は、この作品に通ずるものがあります。

『霧の中のハリネズミ』ユーリ・ノルシュテイン

『霧の中のハリネズミ』ユーリ・ノルシュテイン/ロシア/1975

 

アニメーションを見た、というよりも、夢を見た、に近いような

そんな不思議な体験をさせてくれる作品です。

 

ハリネズミくんのふにゃふにゃな手足、

フクロウの尖らせたクチバシ、

白馬のヒクヒクの鼻、

犬の顔の愛嬌と迫力、

舞い踊る木の葉に光る水面

緩急つきまくりの俊敏な動き、

 

美しいやら、面白いやら、恐ろしいやらで

一秒たりとも目を反らせない。

そんなことしたらもったいない!

24枚も絵を見逃したことになるんですから。

 

『霧につつまれたハリネズミ』ともいいます。

絵本も出ています。

ソチオリンピックの開会式にも、ハリネズミくんがちょっと出てきましたね。

『幽霊船』大藤信郎

『幽霊船』大藤信郎/日本/1956

美しい光のレイヤーの中、優雅に蠢くシルエット。

濃い影、薄い影、濃い色、淡い色

本当に影絵なのかと疑いたくなるほど繊細で滑らかな動きや造形の連続に
思わず目が離せなくなります。

エキゾチックな音楽と歌詞のないコーラスが美しさと恐ろしさを増長し、
明度の高い色鮮やかな映像にもかかわらず、終始不気味な雰囲気が漂います。

白昼夢や蜃気楼のような、
まるで真昼に悪夢を見ているよう。

オープニングがメイキングになっているのがユニークですね。