「ダンボより ピンクの象の行進」ベン・シャープスティーン

「ダンボより ピンクの象の行進」ベン・シャープスティーン/アメリカ/1941

Dumbo Pink Elephants on Parade(Ben Sharpsteen)

 

短編ではありませんが、長編アニメーションの中から有名なワンシーンをご紹介します。

ディズニーの「ダンボ」より、ピンクの象の行進のシーンです。

酔っ払ったダンボが幻覚を観る表現で用いられているのが、「ピンクの象の行進」。

お酒やドラッグにより酩酊状態になり幻覚を見ることを、「ピンクの象が見える(Seeing pink elephants)」と表現されることからこのようなシーンになったのでしょう。

黒バッグ浮かび上がる、鮮やかなピンク色。

色数は決して多くないものの、絶妙な色彩構成がとってもかっこいいんですよね。

音楽に合わせて伸びたり縮んだり増えたり減ったり変幻自在。

しかし、底抜けに楽しい!というよりは、ちょっと病的で、

真っ黒に抜けた瞳は、怖さを醸し出しています。

子供が見たら、トラウマになるかも、、、

その危ういバランスが癖になります。

 

『太りっこ競争』テックス・アヴェリー

『太りっこ競争』テックス・アヴェリー/アメリカ/1947

King-Size Canary(Frederick Bean “Fred/Tex” Avery)

 

お腹を空かせた野良猫は、小さなカナリアに栄養剤を飲ませ、まるまる太らせてから食べようとするのですが、

大きくなりすぎたカナリアに、逆にコテンパンにやられてしまいます。

反撃するため、野良猫は太り返して更に大きくなり、、、、といった具合に太りっこ競争が始まります。

度を越した展開とスピードとスケールに、圧倒されますよ。

当時の社会情勢を反映しているのだとか。

昔のコメディは、比喩や皮肉が含まれていて、単に笑わせるだけでない含みがなんとも味わい深いです。

子供はバカバカしさに、大人はブラックさに。

しかし、今から50年前!半世紀も前に作られた作品なことに驚きです。

 

たまには吹き替え版もいいですね♪

『Dots』ノーマン・マクラレン

『Dots』ノーマン・マクラレン/カナダ/1940

Dots (Norman McLaren)

 

点が音に合わせて形を変えたり動き回ります。

ただそれだけのシンプルなアニメーションですが、

音・形・動き・タイミング、それらのシンクロがとても気持ちよくて、

1分37秒と言う短い時間が、きっともっと短く感じるはず。

季節柄、夜空に弾ける花火を見ているような、そんな気持ちにもなってきますね。

『桃太郎 海の神兵』瀬尾光世


「桃太郎 海の神兵」瀬尾光世/日本/1945

 

タイトルと時代から察する通り、戦意高揚映画なのだけれども、

とても興味深い作品。

主人公は昔話のヒーローである桃太郎です。

桃太郎は日本画の中に描かれる天草四郎のように、凛々しく丹精な顔立ちをしています。

しかし、桃太郎以外はみんな動物なんです。

動物たちは、のらくろや、フクちゃんのような、キャラクター化された可愛らしい描かれ方をしていますが、

アップになると、時折桃太郎のような凛々しい顔立ちになることがあり、その違和感や表情にドキッとする。(あの顔は、キメ顔なのかしら?)

また、全編通して風を感じることができるのが特徴的で、

セーラー服の襟が、桃太郎の前髪が、国旗がふわっとなびき、

常に心地の良い風が吹き抜けていきます。

 

個人的に好きなシーンは、中盤の「アイウエオ」の唄のくだり。

侵略した土地で現地の人に日本語を教える、という、

今思うと不謹慎なシーンだけれど、

ほとんど「ア・イ・ウ・エ・オ」の5文字だけで進むこののシーンは

戦意高揚映画とは思えないほどおおらかで、のどかで、平和に見えます。

しかし、心で楽しいと思っても、頭のどこかで道徳的にせつないと考えてしまうシーンです。

 

今朝、

「桃太郎 海の神兵」がカンヌで上映されたという記事を見て、

久々に見たくなったので、

実はコレ、短編じゃないんですが、是非。

『捨て猫トラちゃん』政岡憲三

『捨て猫トラちゃん』政岡憲三/日本/1947

 

今年の夏は良かったね〜♪

で始まるこのアニメーションは、

夏のことを唄いながら、雪がしんしんと降り積もり、季節は冬です。


年の瀬の雪の日、

一年を振り返り、夏はよかったと思い出しているのです。


何が良かったのか、最後まで見て確かめてくださいね。

 

さて、

時間は遡り、夏、

一匹の捨て猫に出会うところからお話が始まります。

ここからは猫ざんまい

日本画の稚児のような、

滑らかで柔らかそうなフォルムと

仔猫の動きと人間の子供を融合させたような動きがたまりません。

ニャにょ、ニャにょ(嫌よ、嫌よ)

と言う言い回しもなんとも萌えます。

 

最初トラちゃんは、他の猫と違う描かれ方をされています。

同じ猫でありながら、

あくまで人間とペットのような関係で、

洋服も着ていなければ、話すこともできません。

しかし、時を経て、他の猫たちと兄弟のような関係になっていきます。

1947年という時代を考えると、

戦争などで家族を失った孤児が多かった頃、

戦後の混乱の中、

皆で仲良く助け合って生きていきましょうというメッセージだったのでしょう。

 

お母さんが

マリアさまのような、

包み込むような大きな愛、

大きな存在であることがとても印象的です。