『僕はピングー』オットマー・グットマン

『僕はピングー』オットマー・グットマン /  スイス / 1990

Pingu series 1 episode1 (Otmar Gutmann)

 

世界で一番有名なペンギンのキャラクターと言っても過言ではないピングー。

これはテレビシリーズの一番最初のシリーズの一番最初のエピソードです。

(その前にパイロット版があるらしいですが)

好き嫌いが激しかったり、鼻をかんでもらったり、抱きついて泣きついたり、

かなりの甘えん坊さんだったんですねえ。

ピングーといえばおなじみの、ラッパのように広がるくちばしはこの頃から健在で、

伸びたり、縮んだり、曲がったり、つぶれたり

クレイならではの柔軟さと、

空耳のネタとしても人気?のピングー語のユニークさに、

笑ったり、癒されたり、

ついつい見入ってしまうんですよね。

『おやすみなさいこどもたち(エンディング)』ユーリ・ノルシュテイン


『おやすみなさいこどもたち エンディング』ユーリ・ノルシュテイン/ロシア/1999

 

ロシアの巨匠、ユーリ・ノルシュテインが作った、こどものためのTV用のアニメーションです。

子供部屋のおもちゃも寝る時間。みんな、おやすみなさいの時間。

温かいお布団に包まれて、ぐっすり眠りたい。

これを見ていたら、子供の頃、お風呂から出て寝るまでのあの時間、寝間着でそわそわしていたあの感覚を思い出しました。

しかし、何でしょう、どことなくおもちゃたちがおもちゃらしくないというか、

おもちゃが動いているというよりも、そういう生き物がそこにいるような、

妙に生々しくてみずみずしくて生き生きとしたキャラクターたちの描写に、

ちょっとドキッとします。

美しいと恐ろしいは紙一重というか。

『Tom Sweep』 マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット

『Tom Sweep』 マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット /オランダ / 1992

Tom Sweep(Michaël Dudok de Wit)

 

「Sweep」 は英語で「ほうきで掃く」の意味で、『Tom Sweep』は『掃除屋トム』とでも言いましょうか。

初長編監督作品『レッド・タートル ある島の物語』がジブリから公開中の、マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督の初期短編作品です。

『岸辺のふたり』が2000年の作品なのでそれよりも8年前、

マイケル監督の作風の特徴である、セピア調の色合いや、緩急のついた楽しい動きや、動きで表す感情・ストーリーテリングは既にこの頃に出来上がっていたのですね。

『レッド・タートル』に出てくるカニの親子のコミカルな演出は、この作品に通ずるものがあります。

『老婦人と鳩』シルヴァン・ショメ

『老婦人と鳩』シルヴァン・ショメ / フランス / 1998

The Old Lady And The Pigeons (Sylvain Chomet)

 

『べルヴィル・ランデブー』や『イリュージョニスト』などの長編アニメーションで有名なシルヴァン・ショメ監督の処女作です。

最近では『ぼくを探して』という実写映画も撮っていましたね。

さて、これは22分の短編です。

もはやホラーです。

ホラーを通り越してコメディです。

セピア調のノスタルジックな色合い、バンドネオンの哀愁漂う音色、

ホラーからもコメディからも程遠いムードの中で、淡々と時は迫って行きます。

Xデー 、いや、X’masに。

時間経過の描写や、それを切り取るカメラワークが面白い。

台詞がなくても、動きや仕草など細部にこだわった演出が十分物語や関係性を描き出しているので、

まったくわかります。

皮肉っぽいところや、変に素直なところがあり、

見るからに気難しそうな口ひげを携えた貧しい老人が横柄だったり、

ヒョコヒョコ動く裕福な可愛らしい老婆が残忍であったり、

偽善で描かれないのがフランスらしい。

でも、老人が鳩を殴る時「ポコ」と可愛らしい音と動きで、本気で殴っていない”遠慮”を感じたので

その時、「あ、この人横柄だけど悪い人じゃないかも!」と思いました。

処女作なので、若干の絵のタッチの違いはあれど、

背景描写の緻密な描き込みはすでにこの頃から健在、ブラックユーモアに満ちたショメ節はどの作品よりも強いかも。

 

アヌシーや広島、イギリスなどの各国のアニメーションフェスティバルで受賞。

アカデミー賞短編アニメーション部門にもノミネートされました。

『悲しみの白クマ』コ・ホードマン

『悲しみの白クマ』コ・ホードマン/1992/カナダ

The Sniffing Bear(Co Hoedeman)

 

出てくる動物が全部紙で描かれています。

白クマ、白フクロウ、アシカ、オオカミ

立体アニメーションなのですが、紙を切り抜いて作られています。

 

和紙の紙漉き体験で作るような荒い目のテクスチャだったり、

黒いつぶつぶのテクスチャが入っていたり、

黒っぽい中に白みがかったテクスチャがついていたり、

キャラクターに合わせて紙も使い分けられています。

それが動物の毛並みの違いのようにも見えてくるんですよね、不思議。

そしてもちろん紙ですから、ペラペラなんです。

向きを変える時、振り返る時、倒れる時、ペラリーンとしなります。面白いでしょ。

素材感丸出しなのですが、でも、動きはとっても繊細です。

おそらく、何百枚、何千枚と置き換えの型を用意しているのでしょう。

気が遠くなりそう。。。

ものすごくシンプルでありながら、ものすごく手の込んだことをしているんですね。

お話もとってもシンプル。ダメ、絶対。的な。

動物で描くからこその強度があります。彼は生きることを選択した。

強い!

白クマの悲しみとは、果たして何だったのでしょう。